前回のブログでは昭和のアイドルとその特色について振り返りました。
今回はそれを踏まえ、アイドル歌謡の楽しみ方について深掘りしていきます。
昭和歌謡全体の楽しみ方として作家別に見るという事を以前のブログでお伝えしました。
もちろんこれはアイドル歌謡にも当てはまります。
1人のアイドルをどのように売り出そうとしているかを、一連の作品を通して見えてくるのが面白いです。
それに加え、アイドル歌謡特有の楽しみ方が〝成長〟です。
例えば中森明菜でいえば、最初は「北ウイング」や「禁区」、「十戒」などアップテンポで振り付けもカッコいい曲を歌っていました。
それが後期になると「難破船」や「二人静」、「ジプシークイーン」などしっとりとした歌も歌うようになります。
「飾りじゃないのよ涙」や「TANGO NOIR」のように後期もアップテンポな曲はありますが、大人の女性らしさというか、艶やかさが加わってまた違う雰囲気です。
郷ひろみは「男の子女の子」でデビューし、「誘われてフラメンコ」、「恋の弱み」など初期はルックスも加わって、西城秀樹のように熱い男というよりは可愛い路線でした。
それが後に「マイレディー」、「2億4千万の瞳」のように激しいダンス共に熱く歌うようになり、90年代に入ると「言えないよ」のように大人の歌を歌うようになり、かと思えば「GOLDFINGER’99」をヒットさせます。
僕は初期の楽曲である「よろしく哀愁」を大人になってから歌い上げた時に、アイドルから歌手への成長をすごく感じました。
このように、昭和のアイドルは、アイドルから歌手へ成長していきます。
だから昭和のアイドルはこの時の明菜ちゃん、この時代のキョンキョン、この時期の秀樹という楽しみ方ができるのです。
今のアイドルはいくつ歳をとってもアイドル、またはタレントになる場合もありますが、そういう面で昭和の時代はアイドルのバックにいる作家、プロデューサーの力量や信念が強かったように思います。